糖尿病の検査と治療

糖尿病の検査(診断)

糖尿病は、高い血糖値が持続している病気ですので、血液検査でわかる血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を測定し基準値より高いかどうかで診断します。血糖値:採血検査したその時の血液中の糖の値です。HbA1c:過去1-2か月間の血糖値の状況を反映します。血糖値が基準値より高い場合、正常血糖(正常型)に対して、境界型・糖尿病型に分類されます。糖尿病型が2回認められると糖尿病の可能性が高いと考えられます。

75g経口ブドウ糖負荷検査

空腹時の血糖値が正常型でも、食後の血糖値が高いと指摘された時に行う検査です。糖尿病の診断や将来、糖尿病になりやすいかの目安がわかる検査です。

自己血糖測定(SMBG)

自己血糖測定器を活用することで、ご自身で血糖の測定が可能です。細い針で指先などから少量の血液を出すだけで、血糖値を測定することができます。何を食べると血糖が上がり、運動すると数値がどのくらい下がるのか。それは患者さん一人ひとり異なるため、まずは知ることが大事です。自己血糖測定を活用して、ご家庭でも血糖コントロールができているか確認しましょう。
インスリン療法を行っている方は、保険診療によりご準備できます。

フラッシュグルコースモニタリング(FGM)

腕に専用のセンサー(パッチ)を貼り付けることで、機械をかざすだけで皮下の間質液中のグルコース値を持続的に測定できます。測定結果がグラフで表示されるため、1日の血糖値の変化を見ることができます。指先から血液を出して値を確認する必要がないので、痛みを伴うことなく簡単に血糖値の測定が可能です。1型糖尿病の方や1日4回インスリン注射を行っている方は、保険診療によりご準備できます。

糖尿病の治療

糖尿病の治療は基本的に、食事療法・運動療法・薬物療法を中心に行います。合併症を防ぐには血糖値ばかり気にするのではなく、血圧や体重のコントロール、コレステロールや中性脂肪の数値を正常にするなどの治療も必要です。環境因子による影響が大きい2型糖尿病であれば、生活習慣の改善のみで正常化する場合もあり、患者さんの体質や病状によって様々です。糖尿病の状態や症状は症例ごとに異なりますので、当クリニックでは検査や患者様とお話をするなかで今後の治療方針を決めていき、一緒に治療と向き合うことを大切にしております。食事や運動が血糖値とどのような関係があるかなど、糖尿病に関する正しい知識を提供しながら、毎日を健康に過ごせるようにサポートしておりますので、何でも当クリニックにご相談ください。

食事療法

糖尿病治療に食事療法は欠かせません。食事療法というと、糖質やカロリーの制限をして食べたいものも食べられないと思われがちですが、そのような極端な方法は行いません。身長や体重、普段の活動量などをもとに1日の適正カロリーを計算します。炭水化物・たんぱく質・脂質を中心に、ビタミンやミネラルなどの栄養バランスを考え、日々の食事を大切にしていただきながら糖尿病のコントロールをめざします。

食事療法ポイント

  • 1日の適正カロリーに合わせた食事を心がける
  • 1日3食の食事を規則正しく摂る
  • 食事内容を記録しておく
  • 栄養バランスを考えた食事を目指す
  • 早食いはせずゆっくり噛む
  • 食べる順番を気をつける など

管理栄養士による栄養相談

当クリニックでは糖尿病や脂質異常症、高血圧などの改善に食生活の見直しが必要だと判断した場合は、管理栄養士による個別の栄養相談を行っております。普段の食生活や家族背景などをお伺いし、患者様が継続して取り組める食事療法を一緒に考えていきます。食事から糖尿病と向き合い、毎日をより健康に過ごせるように今から取り組みましょう。

運動療法

運動療法は食事療法と同じくらい糖尿病の改善に大切な治療です。食事から活動に必要なエネルギーを体に取り込んだうえで運動すると、エネルギーの需給バランスが取れます。また、運動によって筋肉がつくとインスリンの働きを活性化され、血糖値の安定が期待できるのです。気分転換にもつながり、間食予防・治療意欲が継続できます。

運動療法で期待される効果

  • インスリンの効きが良くなる
  • 肥満の抑制・減量効果
  • 血糖値が下がる
  • 高血圧や脂質異常症(高脂血症)の改善
  • 筋肉・筋力の維持
  • 気分がスッキリする など

運動療法の注意点

心臓や肺の機能障害、糖尿病による合併症などがある場合は、運動が体の負担になる恐れがあります。また、早朝などの食事前に運動すると低血糖(血糖値が下がりすぎる)に至り、重症な場合は意識障害に至る場合もあります。低血糖に陥ることで糖尿病の合併症が進行させてしまう事もあります。運動療法は、低血糖を行させないために食後に行うのが理想的です。更に、激しい運動は、かえって血糖値を上昇させてしまうこともあります。運動を始める前には医師の指導を受け、無理のない範囲内で運動を楽しむように心がけましょう。

薬物療法

食事や運動で血糖値のコントロールが難しい場合は、薬物療法の検討が必要です。食事の吸収をゆっくりにするお薬、インスリンの分泌を促進するお薬、インスリンの効果を高めるお薬など、患者様の症例に適したお薬を処方しております。服用方法を間違えると効果を得られなくなってしまうため、お薬の正しい服用の仕方もアドバイスいたします。

こんな方はインスリン注射が必要です

  • 腎臓や肝臓に機能障害がある方
  • 急性膵炎・慢性膵炎・膵臓を手術された方
  • 薬を飲んでも血糖値が改善しない方
  • 手術後など大きな怪我をしている方
  • 妊娠中や妊娠を希望している方
  • 1型糖尿病の方

インスリン治療について

様々な治療を行っても血糖値の改善が見られない場合は、患者様ご自身で注射をしていただき、体内にインスリンを直接取り込む治療を行います。1型糖尿病の患者様は自己注射が必須ですが、2型糖尿病の患者様もインスリン治療を通じて膵臓のβ細胞の働きが改善する可能性があります。治療を通じて血糖値のコントロールが良好になれば、注射の回数や量などの調整も可能です。

名和内科クリニック|糖尿病に関する情報サイト Diamell