糖尿病の(慢性)合併症:大血管編:えのき 「え」の巻
- 診療関連
糖尿病の(慢性)合併症:大血管編:えのき
「え」の巻
糖尿病は血液中のブドウ糖値が高くなる病気です。
血液中の糖分が高くなると粘調度が強くなり血管の内側が傷つきやすくなります。
太い血管(大血管)において高血糖から障害され発症するのが、動脈硬化症です。
動脈硬化症では、動脈という血管がつまり(狭窄)
その先の臓器に十分な栄養や酸素が届かくなり臓器障害を起こします。
特に生命の危険に直結するのが、
壊疽(えそ)、脳梗塞、虚血性(きょけつせい)心疾患の狭心症や心筋梗塞であり、
それぞれの頭文字をとって「えのき」です。
「え」:壊疽(えそ)
壊疽(えそ)とは、皮膚や皮下組織の細胞が死滅し腐敗した状態で暗褐色に変化します。
糖尿病患者さんに起こりやすいのは足壊疽です。
突然、足が壊疽になることはありません。
靴擦れや深爪、巻き爪、タコやウオノメ、低温熱傷(やけど)、
皮膚乾燥 等をきっかけとした傷(皮膚損傷)に気づかず治療せず放置すると、
感染症(真菌症や細菌感染)を発症し足壊疽へ至ります。
足壊疽の発症には、糖尿病性神経障害や循環障害が背景にあり、
高血糖による免疫力の低下、創傷治癒の遅延、感染症が複雑に関連しています。
感染が進行すると重症化しやすく、
重篤で命の危険がある場合は、足を切断しなくてはなりません。
足に傷ができてしまった場合は、痛みを伴わなくても速やかな治療が必要です。
治療が早ければ早いほど、重症化を防ぎ、足切断を回避できます。
糖尿病患者さんの足に起こる何らかの病的な変化
(神経障害や血流障害、足変形、傷、潰瘍、足趾間や爪の白癬症、タコやウオノメ 等)
を「糖尿病性足病変」と言います。
予防には、血糖コントロールの改善と共に、
糖尿病性足病変に対するフットケアが大切です。
次回は フットケアについてご説明します。
写真はMaiさんシリーズです。
館山の空だそうです。
美しい夕焼けですね。
夕焼けをみるとふと子どもの頃を思い出します。