糖尿病の(急性)合併症:低血糖
- 診療関連
糖尿病の(急性)合併症:低血糖
糖尿病は血液中のブドウ糖が慢性的に高くなる病気です。
糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法による血糖値の正常化です。
食事・運動療法で血糖値が改善しない場合に薬物療法を開始します。
薬物療法には、飲み薬と注射剤があります。
高くなり過ぎた血糖値を下げる目的で使用されますが、
時に血糖値が下がり過ぎることがあります。
一般的に血糖値70mg/dL以下を「低血糖」と判断します。
低血糖症状には、空腹感が強くなる、汗をかく、不安な気持ちになる、
脈が速くなる、手や指が震える、顔色が青白くなる(交感神経症状)や、
頭痛、目のかすみ、集中力低下、生あくび(中枢神経症状)があります。
低血糖症状のままでいると、
昏睡(こんすい)など意識のない危険な状態(重症低血糖)になってしまうことがあります。
これはたいへん深刻な状態で、命に危険が及ぶことがあります。
低血糖症状が疑われる時は、できるだけ早く対応をしなければなりません。
このような状況から現在の糖尿病治療は、低血糖を起こさせない治療を念頭に行っています。
特に、高齢者の糖尿病の患者様は低血糖をきっかけとして転倒することがあり、
骨折や怪我に至る可能性が高く大変危険です。
低血糖になる原因は、いくつか考えられます。
- 食事の量や炭水化物の量が少ない時
- 食事時間が普段より遅くなった時
- 運動の量や運動時間が普段より長い時
- 空腹で運動した時
- インスリン注射や飲み薬の量を間違えて多くなった時
- 飲酒した後
- 空腹で入浴した時やその後
などです。
低血糖の対処法で重要なことは、速やかに血糖値を上げることです。
そのためには、すぐにブドウ糖を摂ることが重要です。
特に、インスリンの注射を行っている方は日頃からブドウ糖を持ち歩くようにしてください。
ご飯や100%ジュース は、時間がかかってしまうため、適していません。
注意しましょう。
ご本人の意識がはっきりせず周囲が気づいた時の対応
重症低血糖の場合は、本人の意識がはっきりせず、ブドウ糖を飲み込むのが難しい場合があります。
その場合は、無理にブドウ糖を飲ませると誤嚥(ごえん)や窒息の原因になります。
周りの方は、ブドウ糖や砂糖を水で溶かして、口唇と歯肉の間に塗り付け、
すぐに救急車を呼び、医療機関へ行きましょう。
意識がはっきりしない状態にまでなった深刻な低血糖は、
一時的に血糖値が改善してもそのあとにまた血糖が下がり、
同じ症状が出る可能性が高いです。
低血糖が続く場合も、必ず医療機関で診察を受けてください。
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今日の写真は目黒のgentille(ジャンティーユ)さんのパンです。
ジャンティーユさんが、糖尿病の患者さんが美味しく味わえる食パンを
たくさん焼いてきてくださいました。
ジャンティーユさんが焼くパンは、ほっこり幸せな気持ちにもなります。